ノーマン役 岡本さんインタビュー

最初に『ベイツ・モーテル』の吹替えが決まった時の印象は?
戸松 吹替って自分の中でもまだそんなにたくさんやった事がなかったので、お話を聞いた時はやっぱり嬉しかったです。吹替のお仕事が出来るのが嬉しかったし、ドラマの内容も第1話からもう続きが気になって、役としてこうして関われる事が嬉しかったですね。単純に自分の好きなテイストのドラマでもあったので、作品のファンにもなりました。
豊崎 もともと『サイコ』は学生時代に観てだいぶ衝撃を受けたものだったので、その前日譚になるドラマというのが嬉しくて、『サイコ』の世界の中に入らせてもらえるというのが嬉しかったのと同時に、元々のストーリーがホラー・サスペンスだったので、ちょっとドキドキして怖いなという気持ちもありました(笑)

実際にドラマを観た印象は?
戸松 こ、怖い……。
豊崎 (笑) まだ私たちもアフレコの途中なので、まだ謎だらけなんですけど、その謎がちょっとずつ明かされていくところとか、壮大な伏線が隠されていた事に、物語が進むに連れ気付かされたり、毎回ワクワク、ドキドキしますね。

お2人の役はノーマンの青春時代を彩る役どころですが、それぞれ演じているのはどんな女の子なんですか?
戸松 ブラッドリーはいわゆる今ドキの女の子で、第1話の時からたくさんのイケイケな友達とつるんでいて、遊びに行く時もクラブに行ってたりして、多分流行にも敏感な子なんだろうなと思います。私も学生時代それほどイケイケだったわけではないですけど、みんなでわいわいおしゃべりをしていたので、ブラッドリーにも違和感なく自然に感情移入できる女の子ですね。
豊崎 エマはブラッドリーとは正反対と言っていいほどタイプの違う女の子なんですけど、病気を患っているんですがそれに対して卑屈になるわけでもなく、物事を真っ直ぐに受け止める正義感に強い女の子ですね。町で起こる出来事にも真っ直ぐにぶつかっていく探求心のある女の子で、ブラッドリーとはそういう性格的な違いもあって今のところあんまり一緒にいるところはないんですけど、彼女とはまた違った形の魅力がある女の子だと思います。

演じる上で気を配っている点は?
戸松 いい意味でなるべく個性を強く意識しないようにしています。自分から自然に出るブラッドリーの印象をそのまま出せればいいなと思っています。今ドキっぽくしようとか、イケイケな感じを出そうとか、そういう彼女の派手さみたいな部分をわざわざ演じるのではなく、素直に台本を読んで感じた事をなるべく自然に出せるように心掛けています。
豊崎 エマは少し面白くなればいいなと思っていて(笑) 会話のところでもテンションの上がり方だとか、笑い方なんかで少しだけエマらしい、ちょっとだけクセがある感じで演じさせてもらっているんです。エマを演じている女優さんの演技をしっかり拾いつつ、日本語吹替ならではのキャラクターっぽさというのも、少しだけ意識して演じています。


このドラマは何が起こるか先が読めないところがありますが、自分たちのキャラクターに今後何が起こるんだろうと思いますか?
戸松 不幸な展開にだけはならないで欲しいと思いますけど(笑)
豊崎 でももう既にブラッドリー的にはいろんな事に巻き込まれてますよね? 現状私たちが知っている段階では、ブラッドリーはけっこういろいろあります。
戸松 そうだね(笑) それにこの町自体に何か秘密がある感じなので、そこの展開がどうなるのか楽しみですし、その秘密がまた生半可なものではない事が観ているとひしひしと感じられると思うので、ブラッドリーが巻き込まれるのか、無事なのかは分からないですけど、なるべく平和に過ごして欲しいと思います。
豊崎 でもそれだとドラマとしては成立しないかも(笑)

お2人が気に入っているシーンは?
豊崎 エマはいろんなところにどんどん首を突っ込んでいくので、割とドキドキするシーンというか、ある意味肝試し的なシーンでエマとノーマンが2人で行動している事が多いので、その辺は見どころのひとつになると思いますし、何が飛び出すか分からない空気感を視聴者の方にも楽しんで欲しいです。
戸松 ブラッドリーはノーマンと2人で会話するシーンが多いんですけど、真面目なノーマンに対してハメを外したがるブラッドリーの温度差が面白いんですよね。ブラッドリーが言う勉強という名の遊びを、本当に勉強だと思ってしまうノーマンとか、そういう温度差が面白いので、もっともっとそういうシーンを増やして欲しいです。
豊崎 あとお母さんとノーマンのシーン。やっぱりどこか異質な感じがする親子関係をずっと描いているので、そういう怖さも感じてもらいたいです。

2人が演じるキャラクターはノーマンの青春時代に関わってくるわけですが、2人から見て女子としてノーマンみたいな子はどうなんでしょう?
豊崎 私たちはアフレコでノーマンのいろんな面を知ってしまっているのであれですけど、クラスメイトにもしノーマンみたいな人がいたら、真面目だしなんか委員長とかやってくれそうな気がします(笑)
戸松 確かに。成績もいい子だし。
豊崎 普通なら友達になりたいと思う子だけど、『ベイツ・モーテル』を観ている状態では素直に友達になりたいとは思えないかな(笑) そこが複雑な感じですね。でも持っているものとかお洋服とかもお洒落だし、お見舞いの時にもお花を持ってきてくれるし。
戸松 鉢植えだったけどね(笑)
豊崎 そのちょっと天然っぽいところが女の子からすると魅力的で、ブラッドリーみたいな積極的な子がほっとけない対象になるんだろうな、と思います。
戸松 確かに、表情もちょっと物憂げな目をする事が多いので、もっと知りたいと思わせるところがすごく魅力のある男の子だなと思いますね。


他にこのドラマの登場人物で気になるキャラクターはいますか?
豊崎 私は担任の先生が気になってます。
戸松 セクシーなんですよね。
豊崎 あんな先生がいたらいいな、って思ってます(笑) あんな美人な担任の先生だったらテスト頑張るのにな、って思っちゃいました(笑)
戸松 私はやっぱりディランですね。彼が今後どういう立ち回りになっていくかでこの物語もだいぶ変わっていくんじゃないかと思います。最初に出てきた時はなんかすごく野生的な人が来たと思ってビクっとしたんですけど、いろいろひも解いていくと意外と一番常識人だったりするのかな、という感じなので、今後どうなっていくのかすごく気になります。
豊崎 ノーマンと兄弟というのも、また正反対だな、と思いますよね。

ドラマの中ではいろんな事が起こりますが、吹替の現場の雰囲気はいかがですか?
戸松 みなさんすごく仲良くて、最初にこの作品をやるにあたって打ち入り的な会があったんですけど、その時もいろんな方と交流させて頂いて、だから収録の休憩中も楽しそうに話してる声がどこかしらから聞こえてきますね。
豊崎 作品の事について話している事が多くて、休憩中に次のシーンの台本を先に読んだ人が、「次週実は~」って話してみんなでええっ! ってビックリしてたり、音響監督さんが「この後このキャラクターはこうなる」とか言ってる事を、みんなで聞きたいような聞きたくないようなという感じで聞いてたりとか。もちろん本番中はみんな真剣なんですけど、休憩中や本番が終わったら「今のシーン怖かったね~」とか「この先どうなるんだろう」とか盛り上がって楽しくおしゃべりしていますね。
戸松 この人この先どうするんだろうとか、もしも話は結構しますね。
豊崎 みんな自分のキャラクターの身の安全を願ったりしてね(笑)

最後に視聴者の方に一言
戸松 1話、1話進む毎に、一体今後の展開がどうなってしまうのか、演じている私たちも続きが気になってしまうくらい毎回怒涛の展開で、人間関係もストーリーの進行もめまぐるしく変化していきますが、いろんなところに伏線や何か意味深なカットが隠されていて、いろんなところに意味が詰まっている作品だと思います。ぜひ全て観終わった後に第1話から振り返って頂くと、「こういう意味だったんだ」と繋がるところがたくさんある作品だと思いますので、何度も観て頂いて、一緒に何度でもゾクっとして頂けたらと思います。
豊崎 お話自体はサスペンスでホラーでもあるので、シリアスなところが多いんですが、描いている事はいろんな家族の形だったり、人と人との関係性や繋がりをたくさん描いている作品だと私は思っています。個性的なキャラクターが多いだけに自分と重ね合わせるのはあまりないかもしれませんが、こういう家族がいるんだな、とか、劇中「愛しているよ」というセリフが出て来るんですが、愛するというのは一体どういう事なのかとか、何かしら自分の中で家族を思う時に考えるきっかけになってくれたらいいなと思っています。ドラマは今後もあんなことやこんなこと、とんでもない事が起こり続けるので、観逃さずに最後まで応援して頂けたら嬉しいです。