「ベイツ・モーテル」通信 Vol.3

「ベイツ・モーテル」では、今までの猟奇殺人鬼ものにはなかった“猟奇殺人鬼誕生の過程”を描く

アルフレッド・ヒッチコック監督による映画『サイコ』の前日譚を描いた「ベイツ・モーテル」。両作の主人公である猟奇殺人鬼ノーマン・ベイツは、実在の殺人犯エド・ゲインをモデルにしている。1800年代のロンドンを震撼させた“切り裂きジャック”を描いた小説や映画が量産されたように、“猟奇殺人鬼”ものは、フィクション、ノンフィクションを問わず昔から人気が高い。

映画では、アカデミー賞®5部門に輝いた『羊たちの沈黙』をはじめ、シリーズ7作まで作られた『ソウ』、貴志祐介の同名小説をもとにした三池崇史監督の『悪の教典』など話題を集めた作品が多い。さらにデヴィッド・フィンチャーが『セブン』『ゾディアック』『ドラゴン・タトゥーの女』と猟奇殺人鬼ものを幾度も監督していることからも、このジャンルの需要がいかに高いかがわかるだろう。

そしてドラマでも、『羊たちの沈黙』の前日譚である「HANNIBAL/ハンニバル」、主人公が警察の鑑識官でありながら同時に殺人鬼でもある「デクスター 〜警察官は殺人鬼~」など、猟奇殺人鬼ものの人気作はやはり多い。

『サイコ』を含めた猟奇殺人鬼ものは、犯人を得体の知れない人物として描くことで恐怖を煽るのが定番。しかし「ベイツ・モーテル」は、“ひとりの少年がいかにして猟奇殺人鬼になっていくか”という過程を詳細かつ丁寧に描出していく。今まで描かれることのなかった“猟奇殺人鬼の誕生”を描く、掟破り・異色のドラマなのだ。